統合業務システム

SESの原価管理 完全ガイド|工数入力から請求まで自動化する方法

SESの原価管理を自動化する仕組みの完全ガイドメインビジュアル営業はExcel、経理は別システム、現場からの稼働報告はバラバラ――そんな状態で、毎月の請求書作成に何時間も費やしていませんか?
SES事業では、工数データと契約情報が連動せず、原価と売上のズレに気づかないまま利益を取りこぼすケースが少なくありません。

本記事では、工数入力から請求書発行まで自動化し、原価管理の精度を高めてバックオフィス業務を劇的に効率化する具体的な方法を、システム選定から導入ステップまで完全ガイドします。

 

1.SES事業で原価管理が「バラバラ」になる3つの原因

では、なぜSESの原価管理は「バラバラ」になってしまうのでしょうか。
実は、多くのSES企業が直面している課題には共通する原因があります。
部門間の情報分断、計上タイミングのズレ、そしてExcelの運用限界――これら3つの構造的問題が、どのように収益性の把握を妨げているのか。
それぞれの原因を具体的に見ていきましょう。

1-1.営業・経理で情報が分断される構造的問題

多くのSES企業では、営業部門がExcelで案件情報や工数を管理し、経理部門が別のシステムで請求処理を行うという情報の分断状態が常態化しています。

営業が入力した契約単価や稼働時間のデータが経理に正確に伝わらず、経理は改めて同じ情報を入力し直す二重作業が発生します。
この構造的問題により、請求漏れや原価の計上ミスが起こりやすくなり、プロジェクトごとの収益性をリアルタイムで把握することが困難になります。

結果として、赤字案件の発見が遅れ、適切な対策を講じる機会を逃してしまうのです。

SES企業における営業部門と経理部門の情報分断が引き起こす問題を図解。一元管理ができていないと二重作業の発生、請求漏れ・原価計上ミス、収益性の困難把握、赤字案件の発生遅れといった問題が発生する

1-2.原価と請求のズレが“利益の見誤り”を生む

例えば、契約単価が月80万円で外注費が60万円の案件があったとします。
精算方法が「基準時間:140~180時間」で、実際の稼働が135時間だった場合、本来なら請求額は減額されます。
しかし、この情報が営業から経理に正確に伝わらず、満額の80万円で請求してしまうと、翌月以降に精算調整が発生します。

一方で外注費は60万円から減額した金額を当月計上するため、原価と売上の計上がズレてしまいます。
こうした原価と請求のタイミングのズレが積み重なると、見かけ上の粗利と実態が乖離し、“利益を正しく把握できないこと” が、判断ミスや改善の遅れにつながるリスクが大きいのです。

問題の種類 具体例 影響
精算方法の反映漏れ 超過・控除計算が未反映で満額請求 翌月精算で調整が必要になり原価と売上がズレる
契約単価変更の連携ミス 営業が単価変更したが経理に未通知 請求金額が誤ったまま発行され利益計算が狂う
外注費の計上タイミング 請求は翌月精算だが外注費は当月計上 月次の粗利が実態と乖離し経営判断を誤る

 

1-3.Excel管理の限界とミスが発生する3つのポイント

SESの原価管理でExcelを使い続けると、3つの構造的な問題が顕在化します。

第一に、手入力による転記ミスです。
単価や工数を複数の帳票に何度も入力するうち、数字の桁違いや参照先のズレが起こります。
転記はミスが起こりやすいと分かっていても、なくすのが難しい作業です。

第二に、数式の上書きや削除による計算エラーです。
複数人で編集するうち、誤って計算式を消してしまい、気づかないまま請求書を発行してしまうリスクがあります。

第三に、複数バージョンの混在です。
営業と経理でそれぞれ最新ファイルを保存した結果、どちらが正しいか分からなくなる事態が頻発します。

 

2.SES事業の原価管理で押さえるべき基本の仕組み

SESの原価管理を正確に行うには、どのような要素を押さえる必要があるのでしょうか。
労務費と外注費の違い、プロジェクト単位での紐づけ、そして契約形態が与える影響――これら3つの基本を理解することで、収益性を正しく把握する土台が築けます。
それぞれのポイントを具体的に見ていきましょう。

2-1.原価の構成要素:労務費と外注費の違いと計算方法

SESにおける原価は、大きく「労務費」と「外注費」に分けられます。

労務費とは、自社で雇用するエンジニアにかかる人件費のことです。
給与や賞与だけでなく、法定福利費(社会保険料・雇用保険料)、交通費、福利厚生費なども含まれます。

一方、外注費は協力会社や個人事業主に業務を委託する際に発生する支払いです。
SESでは二次請けや三次請けとして案件を受注するケースが多く、この場合の主要な原価は外注費となります。

計算方法としては、労務費は「月額給与 + 法定福利費(給与の約15%)+ その他手当」で算出します。
例えば、月給50万円のエンジニアなら、法定福利費7.5万円を加えた57.5万円が労務費となり、これが当該プロジェクトの原価となります。
外注費は契約単価そのものが原価です。

こうした原価の正確な把握が、SESの原価管理における第一歩です。

原価種別 定義 主な構成要素 計算例
労務費 自社雇用エンジニアの人件費 給与、賞与、法定福利費、交通費、福利厚生費 月給50万円 + 法定福利費7.5万円 = 57.5万円
外注費 協力会社・個人事業主への委託費用 契約単価 契約単価60万円 = 外注費60万円

 

2-2.プロジェクト単位で原価と売上を紐づける重要性

SESの原価管理で最も重要なのは、プロジェクト単位で工数・原価・売上をリアルタイムに紐づけて把握することです。
なぜなら、案件ごとの収益性が見えなければ、赤字プロジェクトに気づかず人員を投入し続けるリスクがあるためです。
事業全体で黒字でも、特定案件が利益を圧迫している状況を見逃しかねません。

工数と原価を紐づけることで、どの案件が利益を生み、どの案件に課題があるかが明確になります。
これにより、利益率の低い案件には単価交渉や人員配置の見直しといった具体的な対策を打てるようになります。
また、リアルタイムで収支を把握できれば、月末を待たずに経営判断が可能です。
早期にリスクを察知し、損失拡大を防ぐ体制が整います。

2-3.SES特有の契約形態と精算方法が原価管理に与える影響

SESでは準委任契約を基本に、時間精算・固定単価・超過控除精算など多様な精算方法が存在します。
例えば、基準時間140~180時間の中割精算では、この範囲内なら固定額を請求し、超過・不足分は中間値の時間単価で調整します。
一方、上下割では超過と控除で異なる単価を適用するため、計算がより複雑になります。

こうした精算方法の違いは原価管理に直結します。
固定精算なら請求額は安定しますが、残業が増えれば労務費が膨らみ利益率が低下します。
時間精算では稼働実績に応じて請求額が変動するため、工数と請求の正確な紐づけが不可欠です。

契約条件を正しくシステムに登録し、工数入力から請求計算までを自動化することで、精算ミスや計算漏れを防ぎ、安定した収益管理が実現します。

精算方法 特徴 原価管理への影響
中割精算 基準時間幅(例:140~180h)内は固定額、
超過・不足は中間単価で調整
工数の正確な把握が必要。
範囲外の精算計算を自動化しないとミスが発生しやすい
上下割精算 超過と控除で異なる単価を適用 計算が複雑化し、手作業では誤算のリスクが高い。
システム化による自動計算が必須
固定精算 稼働時間に関わらず一定額を請求 請求額は安定するが、残業増加で労務費が膨らみ
利益率が低下するリスクあり
時間精算 実稼働時間に応じて請求額が変動 工数と請求の正確な紐づけが不可欠

 

3.工数管理から請求まで自動化する5つの方法

工数入力から請求書発行までの一連の流れを自動化することで、営業と経理の情報分断を解消し、請求と原価のズレを防ぐことができます。
しかし、具体的にどのような仕組みを導入すれば、Excel管理の限界を乗り越えられるのでしょうか。
ここでは、SESの原価管理を効率化する5つの自動化手法を順に解説していきます。

3-1.工数入力と原価計算を自動連動させる仕組み

エンジニアが日々入力する工数データを原価計算に直結させる仕組みが、SESの原価管理では重要です。

具体的には、勤怠システムと連動した工数入力により、出退勤情報がそのまま案件別の稼働実績として自動集計される流れを構築します。
この工数実績に、社員ごとの月額給与や法定福利費を按分した労務費単価、外注エンジニアの契約単価を自動で掛け合わせることで、プロジェクト別の原価が即座に算出されます。

従来のExcel管理では、工数集計→原価計算→転記という作業を月次で手作業していましたが、システム化すればリアルタイムで「今月の案件別収支」が可視化できます。
営業担当者も経理担当者も同じデータを参照でき、赤字案件の早期発見や利益率改善の判断が迅速に行えるようになるのです。

3-2.契約管理とアサイン情報を一元化する方法

契約単価・精算方法・アサイン期間といった契約情報を一元管理することで、営業と経理が異なるデータを参照することによる請求ミスや計算ズレを根本から防げます。

具体的には、契約管理機能を備えたシステムに、クライアントごとの契約単価・基準時間の範囲(140~180時間など)・超過控除単価・契約期間をすべて登録します。
同時に、どのエンジニアがどの案件にいつからいつまでアサインされているかという情報も紐づけて管理します。

こうすることで、営業が契約更新した内容が即座に経理側にも反映され、請求計算時に「どの単価で何時間精算するか」が自動で判定されます。
情報の転記ミスや伝達漏れがなくなり、月末の請求処理がスムーズになるのです。

3-3.請求金額の自動計算の対応

請求金額の自動計算を実現するには、SES管理システムの請求計算機能を活用します。

システムに登録された基準時間の範囲や超過控除単価をもとに、当月の稼働時間から請求額が自動で計算される仕組みです。
例えば、140~180時間の契約で実績が190時間なら、超過分10時間に対する単価が上乗せされ、120時間なら控除分20時間が差し引かれるといった処理が瞬時に行われます。

工数実績と契約情報を紐づけることで、手作業では見落としやすい精算漏れが防げ、SESの原価管理における利益の取りこぼしを確実に防止できるのです。

3-4.請求書・帳票の自動出力で経理業務を効率化

契約情報をもとに請求書や支払通知書といった帳票を自動生成する仕組みを導入すれば、経理業務の工数を大幅に削減できます。

インボイス制度に対応した請求書も、適格請求書発行事業者番号を登録しておくだけで自動反映されます。
Web発行機能やメール自動送信機能があれば、送付漏れやご送付を防ぎながらセキュリティも確保できます。

月初の請求処理がワンクリックで完結するようになり、経理担当者の負担が劇的に軽減されるのです。

3-5.入出金管理と資金繰りの可視化で経営判断を迅速に

売掛金・買掛金の入出金状況を一覧で可視化すれば、資金繰りの把握が容易になります。

クライアントからの入金予定日と協力会社への支払期日を同時に管理することで、資金ショートのリスクを事前に察知できます。
案件別の入金遅延や未回収リスクも即座に把握でき、督促のタイミングを逃しません。

リアルタイムで更新されるシステムなら、月末を待たずに「翌月の資金が足りるか」を判断でき、必要に応じた資金調達の準備も迅速に行えます。
経営判断のスピードが格段に向上するのです。

 

4.自動化を実現するシステム選定と導入ステップ

SESの原価管理を自動化するシステムは数多くありますが、業界特有のルールに対応していなければ導入効果は半減してしまいます。
選定時に見極めるべきポイントは何か。中小企業が無理なく始められる価格帯とセキュリティ水準はどこにあるのか。そしてExcelからの移行を失敗させないために踏むべき手順とは。
これら3つの視点から、システム導入を成功させる道筋を示していきます。

4-1.SES業界に特化したERPシステムの選び方

SES業界に特化したERPシステムを選ぶ際は、まず自社の業務フローに必要な機能が揃っているかを確認しましょう。

特に重視すべきは、超過控除の自動計算や業務経歴書の自動作成、契約更新の支援機能です。
これらはSES特有の業務であり、手作業で処理すると時間がかかるだけでなく、計算ミスや記入漏れが発生しやすいためです。

また、請求書や見積書などの帳票が自動出力できるか、インボイス制度に対応しているかも確認ポイントになります。
システムによっては帳票のカスタマイズ範囲が限られている場合もあるため、自社の取引先が求める書式に対応できるかを事前に確認しましょう。

操作性とサポート体制も見逃せません。
バックオフィス兼任で業務を行う場合、直感的に使えるインターフェースと、困ったときにすぐ相談できるサポート窓口があると安心です。

無料トライアルを活用し、実際の業務フローで使い勝手を試してから導入を決めることをおすすめします。

選定項目 確認ポイント
SES特有機能 超過控除計算、業務経歴書作成、契約管理の自動化対応
帳票対応 請求書・見積書の自動出力、インボイス制度対応、書式カスタマイズ範囲
操作性 直感的なUI、兼任者でも使いやすいか
サポート体制 問い合わせ窓口の有無、対応スピード
導入前確認 無料トライアルで実際の業務フローを試す

 

4-2.中小SES企業に適した価格とセキュリティ要件

中小SES企業がシステムを選ぶ際は、無料プラン・低価格プランの有無が重要な判断材料になります。
初期コストを抑えながら実際の業務で試せるため、小規模な体制でも導入しやすくなります。

料金体系も確認しておきましょう。
月額固定型か、登録件数や利用ユーザー数に応じた従量課金型かで、長期的なコストが大きく変わります。
社員や取引先を無制限に登録できるシステムなら、事業拡大時も追加費用を気にせず運用できます。

セキュリティ面では、データ暗号化やアクセス制限、定期バックアップといった基本対策が備わっているかを確認してください。

4-3.Excel管理からシステム移行する3ステップ

Excel管理からの移行は、次の3ステップで進めます。

まず、現状のExcelに散在する契約情報・工数データ・請求履歴を整理し、重複や誤記を修正します。
データクレンジングを行うことで、移行後のトラブルを防げます。

次に、整理したデータをシステムにインポートし、既存システムと並行運用しながら動作を検証します。
並行運用期間を設けることで、現場への影響を最小限に抑えられます。

最後に、マニュアル整備と操作研修を実施し、全社での運用を定着させます。
営業・経理それぞれの業務フローに沿った研修を行うことで、スムーズな移行が実現できます。

 

まとめ

SES事業の原価管理では、営業・経理の情報分断が利益の見誤りを招き、Excel管理では転記ミスや計算のズレが避けられません。
工数入力から原価計算、請求金額の算出まで自動連動する仕組みを構築することで、プロジェクト単位の収益性をリアルタイムで把握でき、管理工数の削減とミス防止を同時に実現できます。
契約管理とアサイン情報を一元化し、SES特有の精算方法に対応したシステム導入が、バックオフィス業務の効率化と正確な原価管理の鍵となります。

 

原価管理を効率化し、営業と経理をつなぐ「事務SOL」

営業からの情報がバラバラで、原価管理に手間がかかっていませんか。
事務SOL』は、契約管理から原価計算、請求書発行まで一気通貫で管理できるSES特化型ERPシステムです。
超過控除の自動計算や帳票の自動出力により、営業と経理の情報分断を解消。
プロジェクト別の収支を可視化し、利益の見誤りを防ぎます。
1ユーザー無料で、社員や案件を無制限に登録可能。
まずは無料トライアルで、業務フローに合うか試してみませんか。

無料お申し込み

下記お客様情報を入力し、「利用規約に同意する」にチェックを入れた後、「上記の内容で申し込む」ボタンを押してください。
送信いただいた情報を弊社で確認後に、ログインアカウント情報をメールにてお送りさせていただきます。

会社名/屋号必須

部署名

ご担当者名必須

メールアドレス必須

【動作環境】
事務SOLはセキュリティの観点から、以下のブラウザでご利用いただけます。
・最新版のGoogle Chrome(Android版を含む)
・最新版のMicrosoft Edge
上記ブラウザがご利用できるOSであれば、WindowsでもMacでも問題なくご利用いただけます。
なお、事務SOLの推奨ブラウザ(最も快適にご利用いただけるブラウザ)は最新版のGoogle Chromeです。

TOP