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脱・どんぶり勘定!制作現場の疲弊を防ぎ適正利益を確保する可視化術

記事アイキャッチ画像:「脱・どんぶり勘定!制作現場の疲弊を防ぎ適正価格を確保する可視化術」。データを分析し、利益構造を可視化している経営者のイラスト。Web制作や動画制作の現場は、常に納期とクオリティの板挟みです。
「社員は徹夜続き、売上は立っているのに、なぜか利益が残らない」。
そんな状況に陥っていませんか?

その元凶は、制作プロセスのブラックボックス化にあります。
本記事では、中小の制作会社経営者が取り組むべき「可視化」の重要性を解説。
感覚頼みの経営を脱し、現場の疲弊を止めながら利益率を改善するための、具体的かつ現実的な処方箋をお届けします。

 

制作会社に「可視化」が不可欠な真の理由

「案件は途切れない。社員も夜遅くまで稼働している。なのに、なぜ利益が残らないのか?」

その原因は、制作プロセスというブラックボックスの中で、利益が「見えないコスト」として蒸発しているからです。
社員数が30名を超えれば、創業期のような「あうんの呼吸」は通用しません。
ここでは、制作会社において「可視化」が経営存続の絶対条件となる構造的な理由を解き明かします。

「どんぶり勘定」が招く制作現場の疲弊

「100万円の案件だから、まあ30万円は残るだろう」。
このような根拠のない「どんぶり勘定」は、現場を疲弊させる元凶です。
営業段階のざっくりした工数見積もりと、実際の制作現場で発生する「仕様変更」「膨大なチャット連絡」「納品直前の微修正」には大きな乖離があります。

この「見えない実工数」をカバーしているのは、社員のサービス残業や休日出勤です。
経営上の数字では黒字に見えても、実態は時給換算で赤字スレスレ。
これでは社員は「忙しいのに給料が上がらない」と絶望し、優秀な人材から離職していきます。
どんぶり経営は、経営者の安心感と引き換えに、社員の人生時間を浪費させるシステムなのです。

項目 どんぶり勘定(現状) 可視化経営(あるべき姿)
見積もり 経験と勘による「ざっくり計算」 過去の実績データに基づく「根拠ある積算」
進行管理 「順調です」という口頭報告のみ タスク消化率と遅延リスクを「数値」で把握
コスト意識 外注費(支払額)しか見ていない 社内人件費(時間コスト)も原価として直視
振り返り 「次は頑張ろう」という精神論 「どの工程で赤字になったか」の原因分析
結果 売上は立つが、なぜか利益が残らない 利益率の低い仕事を断り、キャッシュが増える

 

売上は立つが利益が残らない構造的欠陥

制作業は労働集約型であり、原価の大半は「人件費」です。
しかし、外注費は請求書で把握できても、社内リソースのコストは驚くほど軽視されています。

例えば、進行管理を行うディレクターの稼働工数や、過去データのアーカイブ管理といった「直接制作以外の時間」を原価に含めていないケースです。
これでは、案件単体で見れば黒字でも、会社全体で見ると固定費を回収できていないという事態に陥ります。
どの案件が利益を食いつぶしているか特定できないまま、「売上はあってもキャッシュが増えない」という悪循環が続くのです。

クリエイティブへの甘えと経営数値の乖離

「良いものを作れば、次はもっと高く売れる」。
この職人気質は、経営においては諸刃の剣です。
可視化されていない組織では、クオリティと予算(時間)のバランスが個人の裁量に委ねられてしまいます。

クライアントが求める「80点のスピード納品」に対し、担当者のこだわりで「120点」を目指してしまう過剰品質(オーバークオリティ)や、新しい技術を試すための「勉強時間」が無自覚に案件工数へ上乗せされる現象。
これらは単なるコスト増です。
データという客観的事実がなければ、「良いものを作ったのだから正解」という感情論で議論が終わり、採算意識はいつまでも育ちません。

 

制作現場で「可視化」すべき3つの重要領域

「可視化が重要なのは分かった。しかし、社員の一挙手一投足をすべて記録させればいいのか?」

その必要はありません。
現場の負担を増やし、監視されているような息苦しさを与えてしまっては本末転倒です。
経営者が着目すべきは、会社の利益構造に直結する「急所」のみ。
制作会社において、最優先でデータ化すべきは以下の3点です。

1. 案件別収支:見積りと実工数のギャップ

最も優先度が高いのは、プロジェクトごとの「予実管理」です。
多くの会社では、受注時の「見積り金額(=予定売上)」は管理されていますが、プロジェクト終了時の「最終的な原価(=実質利益)」が曖昧なまま処理されています。

例えば、150万円のコーポレートサイト制作案件があったとします。
見積り段階では「利益率30%(45万円)」を見込んでいたはずが、蓋を開けてみるとどうでしょう。

  • ・クライアントからの要望でデザイン修正が5回発生した。
  • ・素材支給が遅れ、待ち時間に別の細かい作業を行っていた。
  • ・納品直前のバグ修正で、エンジニアが2名追加で投入された。

 

これらの「想定外」をすべて人件費として換算した際、実は利益が5万円しか残っていなかった、あるいは赤字だったというケースは珍しくありません。

可視化すべきは、単なる作業時間の合計ではありません。
「当初の見積り工数」と「実際にかかった工数」のギャップ(乖離)です。
「どのフェーズ(デザイン、コーディング、撮影、編集)で想定を超えたのか」を数字で突き止めることで、初めて「見積もりが甘かったのか」「現場のスキル不足か」「クライアントのハンドリングに問題があったのか」という原因分析が可能になります。
このデータこそが、次回の見積もり精度を高める唯一の資産となるのです。

2. 稼働状況:誰が何に時間を割いているか

次に把握すべきは、リソース(人材)の配分状況です。
ここでは「Aさんが今日何時間働いたか」という勤怠管理レベルの話ではなく、「その時間が利益を生んでいるか(直接業務か、間接業務か)」という質の分解が必要です。

制作会社の経営者が陥りやすい錯覚に、「みんな忙しそうにしているから、仕事は回っているはずだ」というものがあります。
しかし、データを取ってみると驚くべき実態が見えてきます。

  • ・ベテランの浪費: 時給単価の高いトップクリエイターが、新人でもできる「画像の切り抜き」や「議事録作成」、「経費精算」などの間接業務に1日2時間以上費やしている。
  • ・特定の個人への偏り: 「あの人に頼めば早いから」という理由で、特定の社員にだけ難易度の高い案件が集中し、他の社員の手が空いている(アサイン漏れ)状態。
  • ・会議という名のコスト: 定例会議やブレーンストーミングに全社員が参加しており、その総人件費だけで案件利益が吹き飛んでいる。

 

「誰が」「どの案件の」「どんな作業」に時間を割いているかを可視化することで、適材適所の配置転換や、アウトソーシングすべき業務の選定が可能になります。
社員を長時間労働から救う鍵は、この「稼働の中身」を透明化することにあります。

3. 進行ステータス:遅延の予兆を捉える

最後は、プロジェクトの進行状況です。
多くの現場では、進捗管理表(ガントチャート)を作成しますが、それが形骸化し、「気づいたら納期3日前で炎上している」というパターンを繰り返しています。

ここで可視化すべきは、「完了率」ではなく「滞留箇所(ボトルネック)」です。
Web制作や動画制作は、リレーのように工程が進みます。
どこかでバトンが止まれば、最終納期に直撃します。

  • ・「バトン」の持ち主は誰か: 作業が止まっている原因は、社内制作チームなのか、それともクライアントの確認待ちなのか。ここが曖昧だと、制作側が一方的に急かされる構造になります。「現在、クライアント確認待ち:5日経過」とデータで可視化されていれば、営業担当者が正当な理由を持って催促を入れることができます。
  • ・クリティカルパスの把握: 「撮影が終わらないと編集に入れない」「サーバー環境が決まらないとCMS構築ができない」といった、前後関係の依存度が高いタスクの遅れを早期発見すること。

 

「順調です」という現場の定性的な報告を鵜呑みにしてはいけません。
タスクの消化状況と残日数を定量的に可視化し、遅延の予兆(アラート)を自動的に検知できる仕組みを作ること。
それが、経営者が現場を守るための防波堤となります。

 

可視化が「業務改善」と「利益」に直結する仕組み

「可視化ツールを入れても、それだけで口座残高は増えないだろう?」

その通りです。
重要なのは、可視化によって得られた「ファクト(事実)」を武器に、これまでの商習慣や社内ルールを変えることです。
ここでは、集めたデータを具体的なアクションに変換し、確実に利益率を向上させるための3つのアプローチを解説します。

根拠ある「適正価格」への値上げ交渉術

制作会社にとって最もハードルが高いのが「単価アップ」です。
「いつもお世話になっているから」と数年前の単価表を使い続けていませんか?
人件費が高騰している今、それは実質的な値下げです。

値上げ交渉に不可欠なのが、可視化された「過去の実績工数データ」です。
クライアントに「今回も30万円で」と言われた際、感覚で「40万円欲しい」と返しても「高い」と言われて終わりです。
しかし、データがあれば交渉の質が変わります。

「前回のデータを分析したところ、修正対応だけで25時間を要しており、弊社の実質時給は赤字ラインでした。品質を維持するには45万円が必要です。もし30万円に収めるなら、修正回数は1回に限定させてください」

このように「感情(お願い)」ではなく「論理(計算式)」で交渉できます。
データという証拠を突きつけられれば、まともなビジネスパーソンは納得せざるを得ません。
可視化は、クライアントに「安く叩ける下請け」ではなく「対等なパートナー」と認識させるためのカードになるのです。

赤字案件の撲滅と「断る勇気」の醸成

「売上を落とすのが怖い」という心理から、利益の出ない案件や、理不尽な要求を繰り返すクライアントと取引を続けていませんか?
パレートの法則通り、トラブルや赤字の8割は、2割の問題顧客が引き起こしています。
可視化を進めると、この実態が明確になります。

「急ぎで依頼してくるA社案件は、特急対応の残業代がかさみ利益率5%。一方、地味なB社保守は手間がかからず利益率40%」。
この事実が見えれば、経営判断は一つです。
A社を断り、空いたリソースをB社の深耕や新規開拓に充てるべきです。

赤字案件を受けている時間は、単に利益が出ないだけでなく、「本来なら利益が出るはずだった別の仕事をするチャンス」を捨てているのと同じ(機会損失)です。
データを根拠に「儲からない仕事を捨てる」。
この「断る勇気」を持つことこそが、高収益体質への最短ルートです。

制作会社のクライアント・ポートフォリオ分析図:売上規模と利益率の2軸で顧客を分類し、現場の疲弊を招く「見せかけの優良顧客(赤字リスク)」を可視化する4象限マトリクス。

属人化の解消とチーム生産性の最大化

制作会社には必ず「特定の人にしかできない仕事」が存在します。
しかし、トップクリエイターに依存する「属人化」は経営リスクです。
その人が倒れたり退職したりすれば、事業が停止するからです。

業務プロセスの可視化は、この「ブラックボックス化した職人芸」を解体し、チームの資産に変える作業です。
例えば、同じ動画編集でもベテランAさんは3時間、新人Bさんは8時間かかるとします。
作業ログを分析すれば、「Aさんはショートカットを多用し、レンダリング中に別作業をしている」といった具体的な「差分」が見えてきます。

これをマニュアル化して教育すれば、Bさんの時間は短縮され、組織全体の生産性が上がります。
同じ人数・同じ時間でこなせる案件数が増えれば、採用コストをかけずに売上の上限(キャパシティ)を引き上げることが可能です。
可視化は、個人のスキルに依存した「足し算の経営」から、チーム全体で成果を出す「掛け算の経営」へとシフトするためのアップデートなのです。

 

失敗しない「可視化」導入の具体的ステップ

「クリエイターは管理されるのを嫌う。導入しても反発されて終わるのではないか?」
その懸念は正解です。
多くの失敗原因は、ツールの機能不足ではなく「伝え方と進め方」にあります。
現場の抵抗を抑え、文化として定着させるための3ステップを解説します。

1. 「監視」ではなく「武器」だと伝える

最大の失敗は、目的を告げずに「明日から工数を入力しろ」と命じることです。
社員は「サボっていないかチェックされるのでは」と身構えます。
可視化を成功させるには、「会社の利益のため」ではなく「現場を守るため」という大義名分が必要です。

「自分(経営者)の見積もりが甘く、みんなに無理をさせている。正当な予算を勝ち取り、残業を減らすための『武器』として、みんなの本当の工数を教えてほしい」。
このように、課題の矛先を「外(市場や不当な要求)」に向けることが重要です。
「データがあれば、あのクライアントに値上げ交渉ができる」「増員の根拠になる」と、現場にとってのメリットを強調してください。

2. 最初は「精度60%」の習慣化を優先する

最初から「デザイン:15分」「修正:10分」と細かすぎる項目を設定すると、入力作業自体が負担になり必ず挫折します。
最初は「ざっくり」で十分です。
「A社案件」「B社案件」「社内会議」の3つに分ける程度から始めましょう。

  • ・15分単位でOK: 1分単位の正確さは不要。
  • ・入力漏れを責めない: 最初は忘れるのが当たり前です。

 

「精度100%のデータが3日で途切れる」よりも、「精度60%のデータが1年分ある」ことの方が、経営判断においては遥かに価値があります。
ハードルを極限まで下げ、まずは「記録する習慣」を定着させてください。

3. データを使って「経営判断」を変えてみせる

データが集まり始めた際、絶対にやってはいけないのが「個人のつるし上げ」です。
「Aさんは作業が遅い」と詰めた瞬間、現場は「怒られないための嘘の数字」を入力するようになります。

正しい使い方は、経営者が具体的なアクションを起こすことです。
「データで修正過多が証明されたから、あのクライアントに修正費を請求した」「会議時間が多すぎるから、定例を一つ廃止した」。
このように、「入力したことで、本当に仕事が楽になった」という成功体験を現場に見せてください。
自分の入力した数字が会社を動かしていると実感できれば、可視化は自然と文化になります。

 

まとめ:脱・感覚経営。可視化は「最強の盾」になる

「可視化」は、経営者が現場を監視するためのツールではありません。
理不尽な要求や、見えないコストから会社と社員を守るための「最強の盾」です。

どんぶり勘定のまま走り続ければ、いつか組織は疲弊し、立ち行かなくなります。
しかし、勇気を持って「事実(データ)」に向き合えば、適正価格への交渉も、無駄な業務の削減も、すべて論理的に進めることができます。

まずは「ざっくり」で構いません。
今日から一つの案件、一つの工程だけでも数字で振り返ってみてください。
その小さな一歩が、高収益体質への大きな転換点となるはずです。

 

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