統合業務システム

SESのシステム導入失敗を回避!「使われない」を防ぐポイント

SESのシステム導入失敗を回避!「使われない」を防ぐポイント
この記事のポイント

本記事では、SES事業におけるバックオフィス業務の課題と、その解決策について解説しています。

  • ・SES特有の商習慣が引き起こす業務の複雑化と課題
  • ・汎用システム導入時に陥りやすいカスタマイズの罠
  • ・自社に最適な業務効率化を図るためのシステム選定の視点

この記事を読むことで、現場の負担を増やさず、SES事業にフィットした無駄のないシステム化のヒントが得られます。

 

SES(システムエンジニアリングサービス)事業を展開する中で、「バックオフィス業務が煩雑化している」「既存のシステムが運用に合っていない」と悩みを抱える企業は少なくありません。
SES特有の契約形態や請求フローは、一般的な事業会社とは異なる複雑な商習慣を持っています。
そのため、業務効率化を目指してシステムを導入したものの、かえって手間が増えてしまったというケースも散見されます。
本記事では、SES事業における業務管理の課題を整理し、失敗しないためのシステム選定のポイントや解決策について解説します。

 

 

1.SESシステム導入が失敗する根本原因

SES事業を拡大していく上で、案件情報の一元管理やバックオフィス業務の効率化は避けて通れない課題です。
しかし、いざシステムを導入してみたものの、社内で定着せずに終わってしまうケースは後を絶ちません。
なぜ、多くの企業でシステム導入が形骸化してしまうのでしょうか。
その根本的な原因は、導入に至るプロセスと、実際に利用する担当者への配慮の欠如にあります。

1-1.「とりあえず導入」が招く利用離れ

システム選定において最も陥りやすい落とし穴が、「同業他社で広く使われているから」「多機能で最新のトレンドだから」といった理由だけで決めてしまう「とりあえず導入」です。
経営層やシステムの導入担当者は、「これさえ入れればこれまでの課題がすべて魔法のように解決するはずだ」と高い期待を抱きがちです。

しかし、自社が直面している本当のボトルネック(月次締め後の粗利を正確に把握したいのか、それとも煩雑な請求業務を効率化したいのか)を深掘りせずに導入を進めてしまうと、現在の業務フローと新システムの仕様の間に必ず大きなズレが生じます。

その結果、実際に日々システムを操作する営業担当者や事務担当者にとって、新しいシステムは「自分たちの業務を楽にしてくれる便利なツール」ではなく、「経営陣から突然押し付けられた、よくわからない新しい仕事」として受け取られてしまいます。
なぜそのデータを入力しなければならないのかという目的が社内で共有されていないシステムは、担当者に入力する意義を見出されません。

結果としてデータの更新が滞り、やがて誰もログインしなくなるのです。
導入を推進する側と、実務を担う側との間に生じるこの深刻な「目的のズレ」こそが、利用離れを引き起こす最初の原因と言えます。

1-2.営業や事務の入力負担が増大する罠

システムを導入する本来の目的は、属人的でミスの起きやすいエクセル管理の手間を減らし、社内全体の業務を効率化することのはずです。
しかし、課題が曖昧なまま多機能すぎるシステムを選んでしまったがゆえに、かえって入力項目が複雑になり、営業担当者やバックオフィスの事務担当者の負担が増大してしまうという皮肉な罠が存在します。

例えば、これまで一つのエクセルシートにサッと書き込んでいた案件情報や技術者の稼働状況を、わざわざ複数の画面を何度も遷移して入力しなければならなくなったり、移行期間と称して新システムと既存のエクセルの両方への「二重入力」を長期間強いることになったりするケースです。
日々の営業活動や顧客対応に追われる営業担当者や、毎月の締め作業でピリピリしている事務担当者にとって、こうした「直感的に操作できない余計な手間」は強烈なストレスとなります。

操作方法を覚えるために分厚いマニュアルを読み込まなければならないようなシステムは、どれほど経営陣にとって魅力的なデータ分析機能が備わっていたとしても、データの入り口となる担当者からは間違いなく敬遠されます。
タイムリーに正しいデータが入力されなければ、システムはただの空箱となり、最終的に「エクセルで管理していた頃の方が早かったし正確だった」という声とともに形骸化してしまうのです。

 

2.自社の課題はどこ?目的を明確にする

「とりあえず導入」によるシステム定着の失敗を防ぐための第一歩は、自社が抱えている本当のボトルネックを正確に棚卸しすることです。
新しいシステムで社内のあらゆる問題を一気に解決しようとするのではなく、「今、最も解決すべき優先課題は何か」を明確に絞り込む必要があります。

SES企業のバックオフィス業務において、特に深刻な課題となりやすいのは「粗利管理の正確性」と「請求業務の効率化」の2点です。
自社の課題がどこにあるのかを見極めましょう。

2-1.月次締め後の正確な粗利管理が必要か

経営層や管理職にとって、事業を運営する上で最も重要かつ知りたい情報は「正しい利益がいくら出ているのか」という点に尽きるでしょう。
しかし、SES事業における利益計算は非常に複雑です。
技術者の毎月の稼働時間に応じた精算処理や、多重下請け構造で発生する「上下割」や「中割」といった業界特有の複雑な商流・計算方法が絡み合います。
そのため、エクセルを使った手作業の集計ではどうしても計算ミスが起きやすく、各案件の正確な数値を出すための確認作業に膨大な時間が奪われてしまいます。

ここでシステム導入の目的として一度問い直していただきたいのが、「日々のリアルタイムな粗利算出が本当に必要なのか?」という点です。
日々状況が変わる中で、月の途中に寸分違わぬ正確な数値を出すことは実務上、現実的ではないケースが大半です。
自社にとって真に解決すべき課題は、実は「月次の締め作業が終わった直後に、手計算による人為的ミスなく、正確な粗利が即座に可視化される状態を作ること」ではないでしょうか。

もし、毎月の経営会議に向けて、事務担当者が何日もかけて複数のエクセルファイルと格闘し、それでもなお算出された数値の正確性に不安が残るような状態であれば、まずはこの「月次締め後の正確な粗利管理」をシステム導入の第一の目的として据えるべきです。
この課題が明確になれば、選ぶべきシステムは自ずと「SES特有の複雑な計算式に標準で対応し、正しい集計結果を自動で導き出してくれるもの」へと絞り込まれていくはずです。

2-2.煩雑な請求業務の効率化が最優先か

一方、バックオフィスの事務担当者が毎月疲弊している最大の原因が「請求業務の煩雑さ」にある企業も少なくありません。
SES事業においては、正社員、契約社員、あるいは個人事業主やパートナー企業の技術者など、様々な契約形態が混在しながら案件が進んでいきます。
ここで注意すべきは、契約形態が異なったとしても、請求書を発行するタイミング自体は基本的に同じであるという点です。
そのため、月末月初といった特定の期間に、確認作業や書類作成の業務が極端に集中してしまいます。

各所からのタイムカード(勤務表)の回収遅れに対する督促に始まり、契約内容と照らし合わせた稼働時間の超過・控除の計算、エクセルで作成した請求書への転記、そして送付作業。
これら一連のフローを、紙の書類やメール、チャットツールなどを横断して手作業で行っていると、確認漏れや致命的な請求ミスが頻発するリスクが跳ね上がります。

もし自社の現状が、「毎月の請求書発行を期日内に終わらせるだけで事務担当者が限界を迎えている」という状態であれば、この請求業務フローを標準化し、圧倒的に効率化することが最優先の課題となります。
この場合、システムに求めるべきは高度な経営分析機能ではありません。
「稼働精算~請求書の発行が、一連の流れとしてシステム内でシームレスかつ正確に完結すること」です。

自社のボトルネックが粗利の集計にあるのか、それとも請求作業という泥臭いプロセスにあるのか。
この優先順位を社内で明確にすることが不可欠です。

請求業務のステップ 現状の課題
(手作業・エクセル管理)
システム導入による理想的な状態
稼働精算
(超過・控除の計算)
契約ごとの条件を都度確認し、
手計算によるミスが発生
登録された契約データに基づく
稼働時間の自動計算
請求書の作成・送付 エクセルへの転記ミス、手作業での
PDF化と個別メール送信
精算データからのワンクリック作成
・システム内での一括送信

 

 

3.使われないシステムを避ける選定基準

自社の優先すべき課題が明確になったら、次は実際にどのシステムを選ぶかというフェーズに入ります。
ここでは、「導入したものの社内で定着しない」という最悪の事態を避けるための選定基準について解説します。

3-1.営業担当者が直感的に使えるか

システム定着の鍵を握るのは、データの最初の入り口となる営業担当者の入力ハードルをいかに下げるかに尽きます。
どんなに高価で経営層にとって魅力的な高度な分析ができるシステムであっても、日々の正確なデータが入力されなければ、システムは機能しません。

営業担当者は本来、顧客対応や案件獲得に向けた提案活動に最大限のリソースを割くべきであり、システムへの事務的な入力作業は極力短時間で終わらせたいと常に考えています。
そのため、「分厚いマニュアルを熟読しなければ操作方法がわからない」「ひとつの案件情報を登録するだけで何度も画面を切り替える必要がある」「どこに何を入力すればいいのかパッと見て判断できない」といった複雑なUI(ユーザーインターフェース)は、定着への致命的な障壁となります。

選定時には、デモ画面などを通じて実際にシステムを操作する営業担当者の目線に立ち、「迷わず直感的に入力できるか」「入力項目は必要最小限に抑えられ、エクセル管理時代よりも手間が減っているか」を厳しくチェックしてください。
日々の業務フローに違和感なく溶け込むシンプルな画面設計こそが、確実なデータ収集と社内定着を促す最大の要因となります。
営業担当者がストレスなくスムーズに使えるかどうかが、システム導入成功の第一関門と言っても過言ではありません。

複雑なシステムに頭を抱える担当者と、直感的なシステムでスムーズに業務を進める担当者の比較図マニュアル不要で直感的に操作できるシンプルな画面設計が、システム定着の最大の鍵となります。

3-2.必要な機能だけに絞り込まれているか

複数のシステムを比較検討する際、導入担当者や経営層がつい陥りがちなのが「多機能なシステムほど優れており、将来性がある」という誤解です。
しかし、自社の規模や現状の運用レベルに合わない過剰な機能は、かえって画面上の情報量を増やし、操作を難しくするだけのノイズになってしまいます。

例えば、技術者の詳細なスキル条件を複雑に掛け合わせて検索できるような高度なプロファイル機能や、入出金データを外部と連携させるような機能などが挙げられます。
一見すると非常に便利で魅力的に思えますが、現状の自社の優先課題が「月次締め後の正確な粗利管理」や「日々の請求業務の効率化」にあるならば、これらの機能は現段階で必須ではありません。
機能が豊富であればあるほど、初期の設定項目が膨大になり、運用ルールも複雑化して担当者の負担を増やす結果を招きます。

自社の課題解決に直結しない機能は思い切って削ぎ落とし、本当に必要な機能だけに絞り込まれたシステムを選ぶ勇気を持つことが重要です。
解決すべきコアな課題に特化しているシステムのほうが、操作を覚える時間も短縮され、結果的に社内への浸透も早く、高い投資対効果を得られます。
「あれもこれもできる万能なシステム」ではなく、「自社が今困っている課題をシンプルかつ確実に解決できるシステム」を見極めることが、失敗しない選定の鉄則です。

 

4.失敗しないための導入・定着ステップ

自社の課題に合ったシンプルなシステムを選定した後は、いよいよ社内への導入フェーズです。
ここでやり方を間違えると、せっかくのシステムも使われなくなってしまいます。
確実な定着に向けた具体的なプロセスを見ていきましょう。

4-1.段階的な導入で社内の混乱を防ぐ

新しいシステムを導入する際、「来月からすべての業務を新システムに切り替える」といった全社一斉の運用開始は絶対に避けるべきです。
特に注意したいのが、これまで蓄積してきた既存のエクセルデータに対する扱いです。
過去のエクセルファイルからデータを直接システムへ移行する機能がないケースも多く、無理に過去の履歴を手作業で完全移行しようとすると、膨大な移行工数がかかってしまいます。
その結果、本来の目的である業務効率化が進むどころか、かえって通常業務がストップしてしまう深刻なリスクがあります。

失敗を防ぐためには、「スモールスタート」を強く推奨します。
まずは、導入月以降に新しく受注した案件のみをシステムの入力対象とする、あるいは特定の部署や少人数のチームに絞ってテスト的に運用を開始するのが非常に効果的です。
過去の案件データは当面の間、エクセルのまま閲覧用として残しておき、新システムには「これから動く新しい情報」だけを入力していく仕組みにしましょう。
こうすることで、営業担当者や事務担当者の負担を最小限に抑えられます。
段階的にシステムの操作に慣れてもらい、無理のないペースで徐々に対象範囲を広げていくことが、社内の反発や混乱を防ぎ、確実な定着へと繋がる最も手堅いアプローチなのです。

4-2.運用ルールを策定し社内へ浸透させる

システムは「導入してログインIDを配布すれば終わり」ではありません。
優れたシステムという箱を用意しても、それに正しい情報を入力するための「社内ルール」が伴わなければ機能しません。
「誰が・いつ・どのタイミングでデータを入力し、誰が承認を行うのか」という運用フローを明確に策定し、社内へ徹底させることが定着への絶対条件となります。

例えば、「営業担当者は案件を受注した翌営業日までにシステムへ基本情報を登録する」「バックオフィスの事務担当者は、毎月3日までに稼働時間を集計し、請求書の発行処理を行う」といった具合に、具体的な期日と役割分担を取り決めます。
重要なのは、情報の入り口となる営業担当者から、最終的な処理を行う事務担当者へと繋がる情報のバケツリレーが滞らない仕組みを設計することです。

ルール策定時は、経営層がトップダウンで一方的に決めるのではなく、実際にシステムを触る実務担当者の意見を必ず取り入れましょう。
無理のないスケジュール感でルールを決定し、定期的に「入力漏れはないか」「運用上の課題はないか」を確認して改善を繰り返す。
この地道なプロセスこそが、システムを「自社になくてはならない業務基盤」へと浸透させるのです。

 

5.まとめ:自社に合うシステムで失敗を防ぐ

SES事業における業務効率化の鍵は「自社の商習慣にしっかりと適合する仕組みづくり」にあります。
多重下請け構造や複雑な契約期間・単価計算など、SES特有の業務フローを無視して汎用的なシステム化を進めると、運用に乗らず失敗するリスクが高まります。

課題を根本から解決するためには、現状の業務プロセスを正確に把握し、現場の負担を増やさない適切なツールを選ぶことが不可欠です。

まずは自社の課題を洗い出し、無理のない範囲で業務改善の第一歩を踏み出してみてはいかがでしょうか。

 

SES業務にフィットする解決策『事務SOL』

記事内で触れた課題を解決する選択肢として、クラウド統合業務システム『事務SOL』をご紹介します。
事務SOL最大の強みは、SESの商習慣に特化しているため、汎用的なシステムを無理にカスタマイズして失敗するリスクを未然に回避できる点にあります。
複雑な契約や請求フローにも標準対応しており、導入後すぐに無駄のない業務改善を実現可能です。
自社の運用に適合するかご不安な方は、実際の操作感やフィット感を確かめられる無料お申し込みをぜひご活用ください。

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