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SESの粗利計算が変わる!Excel管理の3つの限界と効率的な粗利改善ポイント

パソコンで粗利グラフを確認するビジネスマン:SESの粗利計算とExcel管理からの脱却粗利管理を問題なくできていますか?
多くの中小SES企業では、Excelでの粗利管理に限界を感じ始めています。
技術者がパートナーなら「売上−外注費」で簡単ですが、社員の場合は給与に加え社会保険料なども含める必要があり、計算が複雑です。
本記事では、粗利計算の基本と効率的な管理手法といったSES企業の経営者が知っておくべき粗利管理を解説します。

1.粗利管理とは?まずは基礎を正しく理解しよう

SES事業において「粗利」を正確に理解することは、ビジネスの根幹を支える重要な知識です。
なぜSES企業の経営判断に欠かせないのか、そして「売上」とはどう違うのか。
ここからは、SES事業の粗利計算の基本となる重要な概念について、事例を交えながら解説していきます。

1-1.「売上」と「粗利」はどう違う?

売上と粗利は、ビジネスの成功を測る重要な指標ですが、その違いを正確に理解しておく必要があります。

売上とは、商品やサービスの提供によって得られる金額の総額を指します。
一方、粗利(売上総利益)は、その売上から原価を差し引いた実質的な利益です。

SES事業では特にこの違いが重要です。
例えば、技術者を月額80万円で派遣していても、その技術者の人件費などが50万円かかれば、粗利は30万円となります。
売上だけを見ると好調に見えても、実際の利益は大きく異なることがあるのです。

SES企業が健全な経営を行うためには、売上という表面的な数字だけでなく、粗利という実質的な利益を把握することが不可欠です。
粗利を正確に理解することで、適切な価格設定や利益率の改善につなげることができます。

項目 説明
売上 商品・サービス提供で得られる総額
粗利 売上から原価を差し引いた利益
SES事業の原価例 技術者の人件費、福利厚生費など
粗利の重要性 実質的な利益を把握し経営判断に活用

 

1-2.粗利の基本計算式とSESにおける「原価」の内訳とは

粗利は「売上−原価」という基本計算式で算出されます。
SES業界では、この「原価」の中心となるのが技術者の人件費や外注費です。
例えば、月額80万円で契約した技術者の給与が50万円、社会保険等が10万円なら、原価は60万円となり、粗利は20万円になります。

SESビジネスでは、この原価をきちんと把握することが利益管理の基本です。
人件費には給与だけでなく、社会保険料や交通費、福利厚生費なども含まれます。
また、二次請けの場合は外注費が主な原価となります。

正確な原価把握なしには粗利管理は不可能であり、「売上は良いのに利益が出ない」という状況に陥りやすくなります。
SES企業の成長には、粗利を常に意識した経営が不可欠なのです。

項目 内容
粗利計算式 売上 − 原価
SES業界の主な原価 技術者の人件費、外注費
人件費の内訳 給与、社会保険料、交通費、福利厚生費など

 

2.Excelでの粗利管理に限界を感じる理由

SES事業の粗利計算において、Excel管理には明確な3つの限界があります。
ヒューマンエラーのリスク、膨大な集計作業の負担、そして属人化とリアルタイム性の欠如が、企業の成長を妨げる深刻な問題となっています。

2-1.ヒューマンエラーや集計ミスのリスク

手動でのExcel管理では、入力ミスや数式エラーなどのヒューマンエラーが避けられません。
技術者の単価入力や計算式設定の誤りは、粗利計算を大きく狂わせ、誤った経営判断につながります。
SES事業では技術者ごとの細かい数値管理が必要なため、データ量が増えるほどミスのリスクも高まります。
ダブルチェック体制を構築しても、確認作業自体に多大な時間がかかり、業務効率の低下を招いてしまうのです。

2-2.集計にかかる膨大な時間と作業負担

SES事業の粗利管理では、技術者単位や案件単位での細かな集計作業が必須となります。
Excelでは数十人分の稼働データを手作業で入力・集計する必要があるため、担当者の貴重な時間を大量に消費してしまいます。
特に月次の締め作業では、データ量が増えるほど作業効率は低下し、単純作業の繰り返しによる集中力の低下も避けられません。
企業の成長に伴い技術者数が増加すると、Excel管理の負担はさらに増大し、本来の業務に支障をきたす深刻な問題となります。

2-3.属人化しやすく、リアルタイム性に欠ける現実

Excelでの粗利管理は特定の担当者にノウハウが集中し、組織の脆弱性を生み出します。
複雑な計算式やマクロを駆使した管理表は作成者以外には扱いづらく、その担当者不在時に粗利状況を把握できなくなるリスクがあります。

また、手動更新が前提のため、リアルタイムでの粗利把握が困難です。
SES事業では案件の収益性をタイムリーに把握することが重要ですが、月次の手動更新では赤字案件への対応が後手に回りがちになります。

 

3.なぜ中小SES企業にとって粗利管理が重要なのか

SES事業の成功には、粗利管理が不可欠です。
粗利は経営判断の基盤となり、人材配置の最適化や赤字案件の早期発見、利益体質の構築にも直結します。
これらを正しく把握することが、持続的な成長を実現する鍵となります。

3-1.経営判断とリソース配分の最適化に直結する粗利指標

粗利はSES事業における経営判断の要となる重要指標です。
適切な粗利管理により、人材という最も価値ある経営資源の最適配分が可能になります。

例えば、粗利率の高い案件に優秀な技術者をアサインすることで、限られたリソースから最大限の収益を引き出せるのです。
また、リアルタイムでの粗利把握は、赤字案件や利益率低下傾向にある取引先への迅速な対応を可能にします。
「どの顧客にどの技術者を配置するか」という判断が、SES企業の中長期的な成長を左右するため、粗利指標の重要性は極めて高いといえるでしょう。

3-2.「赤字案件」を早期に察知し、損失を防ぐ

SES企業の経営健全性において、粗利の定期的な確認は不可欠です。
これにより赤字案件を早期発見し、速やかな対策が可能になります。

技術者の稼働状況と売上のバランスが崩れている案件を特定すれば、価格交渉や要員配置の見直しなど具体的な改善策を実行できます。
粗利データによる案件収益性の可視化は、企業全体の収益構造を明確にし、どの案件が実質的に利益貢献しているかを数値で把握できるため、今後の戦略立案にも役立ちます。

3-3.利益体質をつくるための第一歩としての粗利管理

SES事業で安定した利益体質を構築するには、粗利を軸とした経営が不可欠です。
案件ごとの収支をリアルタイムで把握することで、どの取引先が実質的な利益に貢献しているかが明確になります。
この可視化により、低利益案件の改善や高収益案件へのリソース集中が可能になるのです。
粗利管理を社内文化として定着させれば、営業担当者も単なる売上ではなく「利益を生み出す案件」を重視するようになり、企業の収益構造強化につながります。

 

4.粗利改善のために見直すべき管理の視点

SESの粗利を改善するには、技術者や案件ごとの収益性を把握し、稼働時間に応じた精算方法を最適化すること、さらに利益率を重視した経営への転換が重要です。
これにより、粗利管理がより戦略的かつ効率的になります。

4-1.技術者単位・案件単位の原価と売上を正確に把握する

SES事業において技術者・案件ごとの原価と売上を正確に把握することは粗利管理の基本です。

技術者個人にかかるコストと生み出す売上を把握すれば、個人レベルでの収益性が明確になります。
同様に案件単位での収支分析も重要で、高収益案件と低収益案件の特徴が見えてくるため、営業戦略やアサイン判断の材料となります。

これにより単金交渉や新規案件の価格設定も確かな根拠に基づいて行えるようになります。

4-2.稼働時間に応じた精算方法を見直す

SES事業では、技術者の稼働時間に応じた適切な精算方法の設計が粗利向上の鍵となります。
多くの企業で採用されている「140~180時間」といった精算幅で考えると、実際の稼働時間がこの範囲を超えたり下回ったりした場合の調整方法が重要です。

「上下割」は超過と控除で異なる単価を適用するため上位企業側に有利ですが、「中割」は一定の単価で計算するため公平です。
「固定精算」は稼働時間に関わらず一定の報酬となりますが、残業が多い場合には技術者の負担が増します。

契約時には精算方法だけでなく、時間単位や営業日数なども確認し、双方にとって公平な契約条件を整えることで、安定した粗利確保につながります。

4-3.工数よりも「利益率」を軸にマネジメントする考え方

SES事業では、単なる工数管理から「利益率」中心の経営への転換が重要です。
多くの企業が作業時間だけで評価していますが、これでは事業の本質的な健全性を測れません。
工数が多くても利益率が低い案件より、工数は少なくても利益率の高い案件のほうが企業価値向上に貢献するからです。
技術者一人ひとりが生み出す価値とコストのバランスを正確に把握し、粗利率をKPIとして設定することで、より効果的な経営判断が可能になります。

 

5.粗利管理を効率化するためのツール活用

SES事業の粗利管理を効率化するには、Excelの限界を超える適切なツール選びが重要です。
自動計算や一元管理で作業負担を減らし、正確でリアルタイムな粗利計算を実現するための方法を見ていきましょう。

5-1.Excelの限界を超える「自動集計・見える化」の重要性

SES事業のExcel管理には限界があります。
技術者ごと・案件ごとの手動入力は膨大な作業負担となり、ヒューマンエラーも避けられません。
さらに深刻なのは、手作業では粗利状況をリアルタイムで把握できない点です。
経営判断に不可欠な最新の収益状況が常に後手に回ってしまいます。
自動集計ツールを導入すれば、入力作業の負担軽減だけでなく、最新の粗利状況を常に可視化できるようになり、迅速な意思決定と問題案件への早期対応が可能になります。

5-2.専用ツールで案件・技術者ごとの粗利を即座に把握

専用SES管理ツールを導入すれば、案件・技術者ごとの粗利をリアルタイムで自動計算できます。
契約情報に基づき請求金額が自動算出され、超過控除などの複雑な計算も簡単に処理が可能です。
従来のExcel管理と比較して作業時間を大幅に削減しながら、ヒューマンエラーも防止します。
収益性分析や最適な人材配置にも役立ち、経営判断の質が向上するでしょう。

SES管理ツール導入のメリット 具体的な効果
自動計算機能 粗利の即時把握、超過控除の自動計算
時間削減 月初の締め・請求処理の工数削減
経営判断向上 案件・技術者ごとの収益性分析、最適な人材配置

 

5-3.データ一元管理による営業〜請求業務の効率化

顧客情報や契約内容、請求書データの一元管理により、部門間の情報共有がスムーズになります。
従来は営業部門と経理部門で同じデータを何度も入力し直す二重作業が発生していましたが、一元管理システムでこの問題が解消されます。
営業担当者が入力した契約情報から請求書が自動生成されるため、請求漏れや記入ミスも減少。
締め作業の進捗や技術者稼働状況をリアルタイムで確認でき、SESの粗利計算もいつでも正確に把握できるようになります。

 

まとめ

SES事業の粗利管理は経営判断の基盤となります。
「売上−原価」で算出される粗利は、案件・技術者単位で正確に把握することが重要です。
Excelでの管理はヒューマンエラーや属人化などの課題があり、自動集計・見える化が可能な専用ツールの活用が効果的です。
赤字案件の早期発見や利益率を重視したマネジメントへの転換で、安定した利益体質の構築が可能になります。

 

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