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人件費の計算方法は?内訳や適正値・削減する方法も解説

金額の適正値を模索する人達
人件費とは、労働に対して支払われる給与や従業員に関わる経費全般のことです。企業において重要な経費のひとつですが、具体的な内訳や計算方法を把握している方は決して多くはありません。

健全な企業の経営において、人件費の知識を学ぶことは非常に重要です。そこで、今回は人件費の内訳、そして計算方法について解説します。

人件費の適正値や、人件費を節約するためのポイントなどもまとめて取り上げるため、興味を持った方はぜひ最後までご覧ください。

人件費の内訳

人件費の内訳は幅広く、項目も多くなります。人件費の内訳についてそれぞれ解説します。

給与手当

給与手当とは基本給をはじめ、残業手当や通勤手当、役職手当などの諸手当を含む、従業員の労働の対償として支払われるものです。正社員だけではなく、アルバイトやパートとして働く従業員も含まれます。

一般的な従業員が受け取る給料の内訳は、9割程度が基本給、 1割程度が給料手当てです。
従業員が借りている賃貸の家賃の一部、または全額を補填する住宅手当などは福利厚生費に含まれる場合もあります。

役員報酬

役員報酬は、会社経営において重要な意思決定や、その責任を有する役員に支払われる報酬を指します。役員は、会社法に定められている取締役・会計参与・監査役のほかに、会長・理事・専務・常務など会社法では規定されていない役職もあり、企業によって異なります。

役員報酬の額は通常の給与とは異なり、定款での規定や株主総会での承認によって決まります。役員報酬を税務上の人件費として含めるには、定期同額給与・業績連動給与・事前確定届出給与のいずれかに認められなければならず、妥当でない高額な金額が設定されている場合は認められない可能性もあります。

賞与

賞与は、毎月支給される定期給与とは別に支給され、ボーナスや特別手当とも呼ばれる臨時給与のことです。夏と冬の2回支給することが一般的ですが、賞与の有無は企業の方針によって異なるため、賞与が存在しない場合もあります。

賞与には主に3つの種類があり、それぞれ支給額の決め方が変わります。多くの企業が採用している「基本給連動型賞与」は、各種手当などを差し引いた基本給を基準にして計算されます。

「業績連動型賞与」は、各個人や部門における業績が上がり、出た利益によって支給額が変わります。「決算賞与」は、企業全体の決算状況によって決められます。

賞与の決定基準や方法などはとくに決まりがないため、会社独自で賞与額を決める場合もあります。また、役員に支払われる賞与は役員報酬に含まれ、賞与として人件費に計上することはできません。

法定福利費

法定福利費は福利厚生費の一種で、法律によって企業側が負担すると定められている費用のことです。具体的には健康保険料、厚生年金保険料、介護保険料、労働者災害補償保険料、雇用保険料、子ども・子育て拠出金の6つです。

法定福利費には、事業者が全額負担しなければならないものと、事業主と従業員で負担するものがあります。労働者災害補償保険料と子ども・子育て拠出金は事業主負担となるため、全額が法定福利費として計上されます。

そのほかは事業主と従業員で負担するため、従業員の負担分は給与から天引きし、雇用主負担分は法定福利費として計上します。

福利厚生費

法律で定められていないものの企業側が任意で設定できる費用が、法定外福利厚生です。交通費や人間ドックの受診費用、結婚祝い金など、内容は企業によって多種多様です。

近年では、福利厚生として従業員のキャリアプランを応援するために資格手当や、財産形成をサポートするために個人年金の費用補助を行っている企業もあります。

ただし、健康保険や厚生年金などの法定福利費とは異なり、これらの福利厚生はあくまで法定外のため、一切採用していない企業も存在します。

退職金

退職金は、従業員が退職時に支払われるお金のことです。金額は働いた年数や在職期間の業績に応じて変化しますが、就業規則や退職金規定などに沿って決められます。

企業によっては退職金制度そのものが存在しないケースもあるため、気になる方は事前に担当部署に確認しておきましょう。

その他

これまで紹介した費用以外にも、人材採用費や教育研修費なども人件費に含まれます。人材採用費は、企業が人材の採用をする際にかかる費用のことです。

外部コストと内部コストに分類され、外部コストは求人広告費や人材紹介の手数料などを指し、内部コストは採用担当者の人件費や応募者や内定者に支払う交通費などを指します。

教育研修費は、従業員の教育のためにかかる費用のことです。eラーニングや交通費、宿泊費などが該当します。

ただし、業務に直接関係ない研修を受講した際に支払った費用や、一身専属的な資格の取得のための費用は研修費として認められません。

人件費の範囲

人件費の範囲は、従業員の役職や立場によって異なります。以下では、役員・契約社員・派遣社員の人件費について解説します。

役員の人件費

役員は一般的な従業員とは異なり、労働契約ではなく委任契約関係で成り立っています。委任とは、法律行為とそれにともなう業務や事務処理を任せることです。

労働契約ではなく委任契約を結んでいる役員に対して支払う報酬は、厳密には人件費に含まれません。ただし、前述の通り人件費として認められる場合もあります。

役員と従業員の業務を兼任する立場にある使用人兼務役員に対して支払う報酬は、実際に業務に従事した部分が人件費に含まれます。

契約社員の人件費

契約社員とは、雇用期間の定めのある有期労働契約を結んだ社員のことです。契約期間は企業によって異なりますが、最長で3年、専門職をはじめ特定の条件を満たしている場合は5年と労働基準法で定められています。

一般的には、1年の労働契約を結んでから毎年契約を更新、または終了するかを判断します。契約社員に支払われる報酬も人件費に含まれ、採用教育費や研修採用費などが計上されるケースが多いです。

派遣社員の人件費

派遣社員とは、人材派遣会社と雇用契約を結び、実際に働く企業へ派遣される社員のことです。派遣には一般派遣・紹介予定派遣・無期雇用派遣の3種類が存在します。

派遣法によって同一の企業で働ける期間が定められており、雇用形態や組織単位を変更しない限り、基本的に3年以上働くことはできません。

就業先の企業との雇用契約は存在せず、人材派遣会社が報酬を支払っているため、人件費ではなく雑費で処理している企業も多くみられます。

正社員の人件費と分けて管理することで、正確な経営状態の把握につながりますが、正社員と同じように常駐しながら業務を行っている場合は、人件費として管理することが望ましいです。

企業が経営状態を把握するために労働生産性の分析をする際、全体の労働力を確認する必要があるため、雑費などで処理してしまうと正しい数値が出せなくなります。

人件費の計算方法

健全な企業の運営を続けるにあたって、正確な人件費の計算は重要です。以下では、人件費の基本的な計算方法について解説するため、ぜひ参考にしてください。

人件費

人件費の具体的な計算方法は、以下のとおりです。

人件費 = 給与 + 役員報酬 + 各賞与 + 法定福利費 + 福利厚生費 + 退職金 + その他

これまでに紹介した人件費の内訳をすべて足すことで、人件費の合計を算出できます。一人ひとり確認が必要になるうえ、細かい数値を扱うため多くの企業がエクセル表や専門ツールで人件費を計算し、ヒューマンエラーの発生を防いでいます。

事務SOLは、従業員の労働時間や給与賞与金などの管理を一括で管理できるため、ミスをなくし、事務作業の効率化が図れます。興味を持った方は、ぜひお問い合わせください。

売上高人件費率

売上高人件費率とは、売上における人件費のバランスを示す指標で、人件費率とも呼ばれます。企業の利益を計上したり、経営戦略を立てたりする際に役立つ重要な数値です。具体的な売上高人件費率の計算方法は、以下のとおりです。

人件費率 = 人件費 ÷ 売上高 × 100

人件費率が高い場合、人件費の負担割合が大きいことを示します。売上高が少ない、または人的コストが高すぎるなどが原因として考えられます。

逆に、人件費率が低い場合は人件費の負担割合が小さいことを示します。生産性が高いとも考えられますが、従業員に対する還元が不十分である可能性もあるため、楽観視は禁物です。

このように、経営指標として売上高人件費率をみる際は、事業における人件費の割合は適正か、そして従業員への還元度は適正かなどを常に頭に入れておきましょう。

労働分配率

売上高人件費率と同じく、人件費が適切か判断する際に重要な指標となるのが、労働分配率です。労働分配率とは、付加価値に占める人件費の割合を表す数値のことで、以下のような計算式で算出します。

労働分配率 = 人件費 ÷ 付加価値 × 100

付加価値とは、会社が新たに生み出した価値のことです。付加価値を算出する方法は、控除法と加算法の2種類が存在します。

控除法は中小企業向けの計算方法で、具体的な計算式は以下のとおりです。

付加価値 = 売上高 – 外部購入価額

加算法は、日銀方式とも呼ばれる大企業向けの計算式で、以下のような計算式で付加価値を算出します。

付加価値 = 人件費 + 賃貸料 + 税金 + 他人資本利子 + 当期純利益

労働分配率は、低ければかかっている人件費が少なく生産性が高いと分析できます。ただし、低すぎる場合は従業員のモチベーション低下やサービス・商品の品質低下につながる可能性があるため、注意が必要です。

業種によっても目安となる平均値は異なります。日本における2022年度の平均値は、製造業で46.6%、卸売業で43.8%、小売業で41.9%、全体平均は47.7%でした。

健全な経営を行うにあたって、労働分配率は適正な水準に保つ必要がありますが、大企業と中小企業とでは数値に差が出てくるため、ひとつの目安として確認しましょう。

人件費率の適正値

安定した経営のためにも、人件費率を適正値に保つことが大切です。一般的な人件費率の適正値は13%前後、または給与の1.5〜2倍程度が目安とされています。

ただし、適正値は業種や会社の規模によっても変動し、卸売業では5〜20%程度、飲食業では30〜40%程度が目安です。

また、同じ業種でも、業務形態によって適正値は変化します。たとえば、ロボットやセルフレジなど、自動化が進んでいる飲食店の人件費率は低くなりますが、接客サービスに力を入れている飲食店は、人件費率は高くなります。

業界の平均値はあくまで目安として捉え、売り上げ目標や現状の利益などから総合的に判断してから、人件費率の適正値を設定するのがおすすめです。

また、人件費率は定期的に見直しを実施し、人件費率が増加、あるいは減少した際には打開策の検討をしましょう。

人件費率を下げるには

人件費率が高くなる理由として、労働力不足や最低賃金の引き上げなどが考えられます。人件費率が高くなると、利益率が下がる、従業員のモチベーションが低下するなどして、経営に深刻な影響が出る可能性もあります。

人件費率が高くなった場合は、以下のような対処法が有効です。

売上高を上げる

従業員の生産性を高め、売上高を上げられれば人件費率を下げることが可能です。ただし、売上高は一朝一夕で上がるものではありません。売上高を上げたい場合は、長期的な視点で計画を立てる必要があります。

そういった際には、現状の分析が有効です。具体的には、業務工程で無駄が発生していないか調べましょう。現状の分析をする際に利用するデータは、普段の業務内容に関するアンケートを従業員に行う、面談を行うなどして収集するのがおすすめです。

必要に応じて専用のツールを導入すると、より効率的に分析を進められます。分析が終了したら、分析結果をもとに洗い出した問題点を解決するための改革案の検討をしましょう。

人員を削減する

人員の削減も、人件費率を下げる定番の方法です。企業で働いている従業員の数が減れば、それだけ必要な人件費を削れます。

ただし、人件費を削減するためとはいえ、安易に人員の削減を行うのは危険です。適正な人員削減をしなかった場合、各部署で人手が足りなくなり、業務そのものが回らなくなるといった状況も想定できます。

また、理由の薄い人員の削減に関する情報が出回ってしまうと「業績が悪い企業」「従業員を大切にしない企業」などのレッテルを貼られてしまい、業界内での評判が著しく下がってしまう可能性もあります。

このように、人員の削減はリスクの高い方法のため、基本的に最後の手段という認識を持つようにしましょう。

人事評価制度を見直す

人事評価制度の見直しも、人件費率を下げる有効な方法のひとつです。正当な報酬を支払えるようになれば、従業員の仕事に対するモチベーションが向上し、業務効率の向上にもつながります。

逆に、安易に従業員の給料を下げないよう注意しましょう。給料は、従業員にとってモチベーションを高める重要な要素のひとつです。給料を下げた結果、従業員が仕事に対する意欲を失ってしまい、業務効率の低下や人材の流出を招く可能性があります。

人事評価制度の見直しは一度だけではなく、企業の環境や社会情勢などに合わせて定期的に実施しましょう。

補助金や助成金を活用する

必要に応じて、補助金や助成金の利用も検討しましょう。厚生労働省では、人材確保等支援助成金と呼ばれる制度を用意しています。

人材確保等支援助成金とは、労働環境の向上を目指している事業主や、事業協同組合が利用対象となっている制度で、人材の確保と定着を目的としています。中小企業団体助成コースをはじめ、全部で9種類のコースがあります。

ただし、雇用管理制度助成コースのように、新規の受付を停止しているコースも存在するため、事前に希望しているコースが利用できるか確認しておきましょう。

また、人材確保等支援助成金以外に利用できる制度として、人材開発支援助成金や地域雇用開発助成金などが挙げられます。

業務効率化ツールを導入する

人件費率を下げるために、業務効率化ツールを導入する企業も少なくありません。近年では、ビジネスチャットツールやタスク管理ツールなど、さまざまな企業から業務を効率的に進めるためのツールが提供されています。

なかには、無料で導入できるツールもあるため、積極的に採用を検討してみましょう。業務効率化ツールを導入する際は、導入目的を明確にしてください。目的に合わないツールを導入しても業務の効率化は期待できません。

また、業務効率化ツールをはじめて導入する場合は、サポート体制が充実しているかも重要です。サポート体制が整っていれば、トラブルが発生したときも迅速に対応ができるため、業務に深刻な遅延が発生する心配もありません。

こちらの記事では、事務作業の効率化について解説しています。おすすめのツールも紹介しているため、ぜひあわせてご覧ください。

まとめ

人件費の計算方法をはじめ、人件費の内訳や適正値、削減方法などについて取り上げました。人件費は、高すぎても低すぎても、企業の業績によい影響を与えません。自社の人件費の適正値を把握して、健全な経営を行えるようにしましょう。

人件費率を減したい場合は、業務用ツールを導入して作業効率の向上を目指すのがおすすめです。VIPソフトウェア株式会社では、中小企業向けのクラウドERPの事務SOLを提供しています。給与関連から経営関連の事務まで、幅広い管理業務を一元化することで、大幅な業務効率化が図れます。

また、事務作業だけではなく、各種データを自動分析し経営判断のサポートもいたします。1ユーザーであれば無料でご利用いただけますので、ぜひお気軽にお試しください。

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