業務改善するにあたり、欠かせないのが業務のシステム化です。業務をマニュアルにまとめたり、ITツールを導入したりするなど、システム化することで、特定の社員だけが業務に取り組める状況を解消できます。
このように、本記事では業務をシステム化する複数のメリットに加え、システム化の手順やシステムを活用する際のポイントを解説しています。日々の業務を効率化したいと考えている人は、ぜひ参考にしてください。
業務改善が求められる理由
日本では労働可能な人口が減少しており、人員確保が見込めない現状があります。同時に、働き方改革により、長時間労働の是正が進められているため、限られた時間内での業務効率の最大化が求められています。これらの背景から、業務の時間を短くしながら生産性を高めるための改善が不可欠です。
業務改善が求められる理由は、ほかにも3つ考えられます。
・生産性を向上させるため
・無駄なコストを削減するため
・2025年の崖を超えるため
それぞれの理由について解説します。
生産性を向上させるため
企業が業務改善に取り組むべき理由の1つは、生産性を向上させるためです。生産性を上げることで同じ時間やリソースを使いながらも、より多くの成果を出すことが可能です。
その結果、コスト削減や納期短縮、品質向上など、企業にさまざまなメリットをもたらします。たとえば、作業の効率化によって時間が節約されれば、余った時間はほかの業務に取り組むことが可能です。
また生産性の向上は、従業員の満足度を高めることにもつながります。無駄な作業が減少し、より価値の高い業務に集中できるため、仕事の充実感が増し、モチベーションを向上させる効果も期待できるでしょう。生産性の向上は、企業の競争力を高めるために重要だといえます。
無駄なコストを削減するため
企業が業務改善を図ることで、無駄なコストを削減することが可能です。業務の無駄をなくすことで、より集中して業務に取り組めるようになるため、不要な出費を減らしながら成果を上げられるでしょう。
コストを削減する方法として、デジタル化の推進が考えられます。多くの企業がデジタル変革(DX)の重要性を認識しつつも、業務改善にはつながっていないのが現状です。デジタル化を進め、人の手で行っていた管理や経理などの業務を効率化することで、従業員の残業時間を短縮し、残業代を減らせます。
デジタル化の推進による業務改善は、コスト削減を実現する主な手段の1つです。
2025年の崖を超えるため
経済産業省が指摘する「2025年の崖」とは、デジタル変革(DX)を遅れずに進めないと、企業が大きな経済的損失を被る可能性があるという警告です。
2025年の崖を避けるためには、業務のデジタル化と効率化が不可欠です。現状、多くの企業がDXを十分に進めていません。
障害となっているのは、適切な人材や必要なスキルが不足していることです。このままでは、2025年の大きな壁を乗り越えられない可能性があります。そのため、できるだけ早くデジタル化への取り組みを進め、業務改善を図ることが求められています。
業務改善に欠かせないシステム化とは
システム化は業務の効率化と品質向上を目指し、企業が成果を生み出すために欠かせない取り組みです。具体的にはマニュアル化やITシステムの導入によって実現され、業務を標準化し誰もが同じ水準の成果を出せる体制を作ります。
マニュアル化では手順を明確にすることで、誰が実施しても問題なく取り組めるようにします。一方、ITシステムの導入では、データ管理や業務処理を自動化し、時間とコストの削減、ミスの減少を実現します。
システム化によって、より迅速かつ正確に業務が行われるようになり、組織全体の生産性を向上させることが可能です。
システム化するメリット
企業がシステム化することで得られるメリットは、以下の4つです。
・業務の効率化につながる
・データを管理しやすくなる
・属人化を防げる
・ミスを防げる
各メリットについて、詳しく解説します。
業務の効率化につながる
システム化による業務の効率化を図るために、まずは経費精算や勤怠管理など、自動化できる業務を見つけ出しましょう。その後、自動化を実行できるシステムを導入することで、手間のかかる作業を減らし、時間を短縮できます。
たとえば、経費精算システムを導入すると、手入力の煩わしさを解消したり、不正を防いだりする効果を期待できます。また、リモートワークの普及を進めれば、通勤の時間が不要となり、より多くの時間を業務に割けるようになるでしょう。
業務を自動化するなどシステム化することで、作業時間の短縮だけでなく、人件費の削減にもつながります。
データを管理しやすくなる
ITシステムを採用することで、データ管理が格段に楽になります。データをシステム上で一元的に扱えるようになるため、どの従業員も必要な情報を簡単に閲覧・編集することが可能です。最新情報であっても、データを更新すればすぐに共有できるため、部門間の連携をスムーズにする効果も期待できます。
システム化は最新情報をリアルタイムで共有したり、部署や業務ごとで独立させずにデータを一元管理したり、業務の効率を向上させます。
属人化を防げる
属人化とは、業務が特定の人に依存しすぎることで生じる問題のことです。属人化を解消するために有効なのが、業務のシステム化です。
マニュアルやルールを明確に定めることで、誰もが同じ基準で作業を進められるようになります。その結果、急な休暇や退職があっても、問題なくほかの従業員に引き継げるようになるため、業務に遅れが出ることがなくなります。
さらに、ITシステムの導入によって業務を標準化できれば、簡単な操作で作業を完了することも可能になるでしょう。業務をシステム化することで、業務の属人化を防ぎ、業務の効率化と品質の向上を実現できます。
ミスを防げる
システム化は、業務のミスを削減する効果があります。業務工程をマニュアル化し、ITシステムを導入することで、手作業によるミスを減らせるためです。
具体的には、データ入力や分析などの繰り返し行う作業で発生しやすいミスを防げます。その結果、ミスのない高品質な仕事ができるようになります。
デジタル変革(DX)やシステムの導入を推進し、業務の質を向上させましょう。その際は明確な目標を設定し、全員が目的に沿って動くことで、ミスのない、より効率的な業務運営を実現できます。
システム化するデメリット
業務をシステム化することで、業務上のミスを減らし効率化できたり、属人化を防いだりするメリットがあります。一方、システム化には以下のようなデメリットがあることも忘れてはいけません。
・ITの知識やスキルが必要となる
・システム停止のリスクがある
・不正アクセスや情報漏洩のリスクがある
なぜ上記の問題が発生してしまうのか、わかりやすく解説します。
ITの知識やスキルが必要となる
システム化は業務効率を向上させる一方で、運用にはIT知識やスキルが欠かせません。つまり、システムを適切に運用するためには、専門的な知識を持つ人材が必要になるわけです。
とくにシステム導入初期は、従業員への教育やサポート体制の構築が重要となります。また、システムの管理やセキュリティ対策にも細心の注意が必要です。
このような課題に対処するためには、社内でITスキルを持つ人材を育成するか、外部の専門家に頼ることが一般的です。計画的に進めなければ、システム化によって業務の効率が下がってしまうリスクもあります。システム化を成功させるためには、適切なITスキルと知識が必要になることを把握しておきましょう。更に個別のシステムを入れるとそれぞれの知識とコストがかかり逆に非効率になるので注意が必要です。
システム停止のリスクがある
ITシステム導入には、予測不可能な停止リスクがともないます。たとえば、災害や停電などが発生すると、システムが停止し、業務が中断することがあります。
被害を最小限に抑えるためには、事前の準備が欠かせません。具体的には、システム停止時の対応策を計画し、従業員に周知するなどの準備が考えられます。データ管理やシステム運用において、システムがダウンした場合の代替手段を準備することも大切です。
具体的な対策を事前に講じることで、システム停止時でも業務の影響を最小限に留め、素早く復旧できるでしょう。
不正アクセスや情報漏洩のリスクがある
ITシステム導入による情報のデジタル化は、不正アクセスや情報漏洩のリスクを高めます。データをオンラインで管理するのは便利ですが、セキュリティの脅威も無視できません。外部からの不正アクセスはもちろん、従業員の誤操作による情報漏洩もあり得るため、セキュリティ対策と従業員の意識改善が不可欠です。
解決策として、データのバックアップを定期的に取ることや、ログイン情報の厳重な管理など、漏洩防止策を講じることが考えられます。対策を徹底することで、リスクを最小限に抑えられます。
システム化する際の手順
ここからは、どのようにシステム化を進めていくのかを説明します。具体的には、以下の4つの段階に分けて実行するとよいでしょう。
1.システム化の目的を明確にする
2.システム化の業務範囲を決定する
3.業務の管理方法を整理する
4.システム化の方針を決定する
それぞれの段階について理解し、積極的にシステム化を進めましょう。
1.システム化の目的を明確にする
まず、システム化する目的を明確にすることが重要です。そのために、企業が直面している課題を明確にし、解決すべきポイントを特定しましょう。
解決すべきポイントが具体的であればあるほど、必要なITツールの選定が容易になり、求めている結果を得やすいです。たとえば、業務の効率化やコスト削減、ペーパーレス化、業務品質の向上などが挙げられます。
一方、すべての業務を一度にシステム化しようとすると、時間とコストがかかり過ぎてしまうおそれがあるため、優先順位の高いものから始めて徐々にシステム化を広げるのがよいでしょう。しかし、徐々にシステム化をして失敗する例もあります。それが、別々のシステムを導入することです。個別のシステムは連携が面倒で使い勝手も変わります。
出来る限りERPなどのひとつで全ての業務ができるものを選びましょう。
最近では無料から始められるものもあるので、ERPを導入し一つひとつの業務から使い始めるのがおすすめです。
2.システム化の業務範囲を決定する
システム化の目的がはっきりした後は、具体的にはどのような業務をシステム化するとよいのかを考えましょう。一気に全業務をシステム化するのは、あまり現実的ではありません。
まずはシステム化すると最も効果のありそうなもの、あるいは改善が急務のものから着手するのが理想的です。現在の業務プロセスをきちんと分析し、課題が最もはっきりしている部分や最大の効率化が見込める範囲を特定しましょう。
また、他社の成功事例を参考にすることで、自社に適用可能なシステム化のアイデアを得られます。ここで重要なのは、業務改善のためのシステム化であることを念頭に置くことです。単に業務プロセスをデジタル化するのではなく、プロセスを見直し、効率的に行うことが目的であることを忘れないようにしましょう。
3.業務の管理方法を整理する
システム化の業務範囲が決まったら、業務管理の方法を見直しましょう。理想は、各部署が同様のルールや方法でデータの共有や管理をすることです。システム化の効果を高めるためには、どちらの部署からもアクセスが容易で、全員が満足できる管理システムを設計する必要があります。
また、管理システムが整理されることで、アクセスしやすくなるだけでなく、管理の透明性も確保できます。全社的に統一された管理方法を導入し、全社員が不満なく利用できるようにしましょう。
4.システム化の方針を決定する
最後は、システム化の方針を決めましょう。具体的には、システムを業務に合わせるのか、それとも業務をシステムに適応させるのかを明確にします。業務内容に合わせてシステム化するなら、柔軟性を重視したシステムの開発が必要です。
一方、業務をシステムに合わせられるなら、コストを抑えられるパッケージサービスが向いています。パッケージサービスとは、市場に販売されている既製のサービスのことです。
新しくシステム開発するわけではないため、比較的安価で導入できる利点があります。ただし、パッケージサービスを導入する前は、システムが事前に定めた目標に合致しているかをきちんと検討する必要があります。
システムを活用する際のポイント
システム化は完了したら終了ではありません。重要なのは、導入したシステムをどのように活用し、課題を克服したり目的を達成したりするかです。ここからは、システムを活用する際に意識すべきポイントを5つ紹介します。
1.業務の課題解決に必要なものを選定する
2.人材活用・育成について見直す
3.長期的な目線で改善していく
4.スモールスタートを意識する
5.システムに詳しい企業のアドバイスを受ける
業務の課題解決に必要なものを選定する
業務改善を目指す際には、まず社内の現状分析から始め、課題をきちんと特定することが重要です。課題の理解に基づき、ふさわしいシステムやツールを選定することが、効果的な解決策となります。
システムをうまく活用するには、組織全体だけでなく、各社員の積極的な参加も不可欠です。難しい場合は各社員をリードできる、ITツールやシステムに関する専門スキルを持つ人材を新たに迎え入れることも検討しましょう。
人材活用・育成について見直す
ITツールやシステムの導入にともない、企業は人材の活用と育成方法を見直す必要があります。とくにデータ分析などの専門的なスキルは、内部だけでカバーできない場合もあります。その場合は、外部研修や専門企業との協業を通じて知識を習得するとよいでしょう。
さらに、デジタル技術を活用することで、経営戦略にもよい変化をもたらす可能性があります。システムの活用方法などを社員が積極的に学ぼうとすることで、社内に新しいことは学ぶという文化を醸成できます。そこに企業が新技術や方法論を積極的に取り入れる環境を整えることで、企業はさらに発展するでしょう。
人材の能力を最大限に引き出し、組織全体としてシステム化に適応できるよう支援することが、企業の競争力を左右します。
長期的な目線で改善していく
システム化の成功は、短期間での成果だけで判断するのではなく、長期的な視野で考えることが重要です。システム化できればそれで終了ではありません。システムを活用した業務プロセスの見直しや改善は、定期的に行いましょう。
見直しや改善の際に役立つのが、PDCAサイクルと呼ばれる考え方です。PDCAとは、以下の英語の頭文字を取ったものです。
・Plan(計画)
・Do(実行)
・Check(評価)
・Action(改善)
PDCAサイクルを効果的に活用し、計画を実行した後は成果を評価し、必要に応じてさらなる改善を行いましょう。繰り返し実施することで業務は徐々に洗練され、企業全体の競争力も高まります。長期的な目標に向けて地道な改善を重ねることが、企業の長期的な成長の鍵となるわけです。
スモールスタートを意識する
システム化を進める際には、大規模な計画よりも小規模な計画で取り組み始める「スモールスタート」が大切です。小規模な計画から始めることで素早く、そしてリスクを最小限に抑えてシステムの有効性を試せます。システム化の有用性を感じられたら、従業員のモチベーション向上にもつながるでしょう。また、スモールスタートで得られたフィードバックや学びを次に活かし、徐々にシステム化していくことが可能になります。
スモールスタートはシステム化のハードルを下げ、組織全体の適応能力を高めるのに効果的な戦略です。
システムに詳しい企業のアドバイスを受ける
社内にIT専門知識が不足している場合、システムに詳しい企業からアドバイスを求めるとよいでしょう。専門知識のある企業に見てもらうことで、自社の内部リソースだけでは発見しにくい新しい視点や解決策を得られます。
必要に応じて、自社のニーズに合った最適なシステムを選んでもらったり、効率的なシステム活用の方法を教えてもらったりすることも可能です。結果として、時間とコストを節約しつつ、業務のシステム化を加速させることができるでしょう。
本記事では業務改善に欠かせないシステム化について解説しました。次にこちらでは、事務作業の効率化に焦点を当て、具体的な方法とおすすめのツールを10選紹介します。是非ご覧ください。
まとめ
システム化は、中小企業にとって業務改善の重要な鍵です。業務を効率化できるだけでなく、データ管理の容易化や属人化の防止、ミスの削減も実現できます。
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